
アメリカで行われた第92回アカデミー賞で韓国映画
「パラサイト 半地下の家族」
が外国語映画としては史上初めて、最高の栄誉である作品賞を受賞しました。
アカデミー賞を取るまでは全く注目していませんでしたが、今回ミーハーと言われても良いので、映画館に足を運び鑑賞してきました。
やはりアカデミー賞を受賞した後の最初の週末だったので、館内は満席になっていました。
格差社会を皮肉ったストーリー

この映画の内容を簡単に説明すると、
上の写真のように道路より1段下がった半地下の格安物件に住む一家4人が、高級住宅地の大豪邸に住む家族に”家政婦”や”家庭教師”となって溶け込む事で展開されるサスペンスムービーです。
後半では大豪邸の夫婦が子供の目を盗んでSEXしようとしたり、思いっきり刃物で身体を刺すシーンがあったりと刺激がとても強いので、子供と一緒に鑑賞する映画ではないので注意してくださいね。
なんでも最近韓国では貧富の差が激しく、収入が少ない家庭はこの「半地下物件」を利用している事が多いのだそう。
この半地下物件は今回、映画を鑑賞して初めて知りましたが、とても住めたもんじゃないなという印象を受けました。
室内は狭く、下水道の関係でトイレが床より高い位置に設置されていたり、大雨の日には室内が浸水したりと、虫が常に発生したりと格差を象徴する存在として描かれていました。
やはり日本は収入が無くても生活保護を受ければある程度質の保たれた物件に住めるので、良い国なんだなと改めて感じました。
また半地下物件の家族は全員失業中で、ピザ屋の箱を作って生計を立てていて、その日を暮らしていく事で精一杯です。
対して大豪邸の家族は絵に描いたような豪華な暮らしぶりです。
有名建築家が建てた広い庭付きの一戸建て
夫婦共に送り迎えは運転手付きの車
子供2人にはそれぞれ家庭教師
なんでも言うことを聞いてくれる24時間常駐の家政婦
値段を全く見ることなく行われる買い物
監督のポン・ジュノは映画を通じて今の韓国社会の格差を痛烈に批判しているのではと感じましたし、もしこの映画の内容が本当であるのならば韓国にはとてもじゃないけど住みたくないなと思ってしまいました。
個人的にあのラストの展開は疑問

半地下物件の家族は長男が家庭教師として雇われるのを皮切りに、他の家族も上手い事富裕層の家族に入り込んでいきますが、段々と嘘を付く事に限界を感じ、乗っ取れないないかと計画を立てようとします。
最後には予想外の住人により、計画は破綻し、めちゃくちゃな展開で終わりを迎えます。
ハッピーエンドではありません。最悪のバットエンドです。
個人的には嘘を付いたけれど、正直に事情を説明し、富裕層家族が理解を示して半地下家族を受け入れるストーリーになってほしかったのですが、それは素人目線で映画としては面白くなくなってしまうでしょうか?
最後のシーンはとても暴力的で、救いようのないラストです。
SEVENや、ダンサーインザダーク、ミストに匹敵する鬱映画だと思います。
歴代鬱映画の仲間入りを果たしたと言って良いと思います。
でも、日本の映画よりはるかに面白かった

今回は外国語映画として初めてアカデミー賞作品賞を受賞して話題の
「パラサイト 半地下の家族」
を鑑賞した感想を書いてみました。
私的には今回の映画のラストは自分の思っていたラストとは違い、しかも悪い意味で裏切られたので納得はできませんでした。
感想としては批判的な内容だと思われるかもしれませんが、映画の総評としてはひと時も目を離せなかったという点でよても良く出来た映画だと思いました。
アカデミー賞の受賞も現代の格差社会を反映していたのが追い風になっていると思います。
同じ格差社会を描き、アカデミー賞にも同じくノミネートされていた「JOKER」は作品賞は取れませんでした。
JOKER は犯罪を正当化しかねない内容なので、作品賞は取れなかったのだでしょう。
しかし、今回の「パラサイト 半地下の家族」はとてもスリリングで、今のアイドルを主演にしたり、マンガの劇場版ばかりをやっている日本映画とは違いとても惹きつける内容だったのはたしかです。
面白い映画を作れば、国境を越えて世界で評価される事が証明されました。
映画好きな私としてはレベルの低い内容では無く、人間味溢れる内容の濃い日本映画が出てくれる事を楽しみにしたいです。
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